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2021年6月21日(月)
【ご報告】 SDGs視点での社会・環境課題の解決と事業成長
「サステナビリティー経営」の実践事例を学ぶ

環境保護印刷推進協議会では、5月28日(金)午後、創立15周年を記念する諸行事の集大成として「“SDGs”クリオネセミナー」を開催しました。新型コロナウイルス蔓延防止に配慮して、ビデオ会議ツールZOOMを利用したオンラインセミナー形式でおこないましたが、参加を申し込まれた会員企業(60社)の方々は、自社にあるパソコンの画面を通じて熱心に聴講し、それぞれに有意義な講演を聴くことができました。

今回、取り上げたテーマは「SDG視点での社会・環境課題の解決と事業成長―コニカミノルタのサステナビリティー経営の実践事例―」でした。国連が採択している持続可能な開発目標[SDGs]の趣旨を再認識する目的で企画したもので、当協議会が重視する<澄んだ空気>と<きれいな水>、CO2削減、森林再生はもちろんのこと、「高い生産性で働きがいを」「つくる責任つかう責任」といったテーマ(ゴール)に、印刷会社としていかに具体的に実践していったらよいのかを勉強する機会としました。

SDGsに関連するビジネス活動で高い社会的評価を得ているコニカミノルタジャパン(株)(当協議会協賛会員)の協力を得ておこない、講師には、コニカミノルタ(株)サステナビリティ統括部・環境デジタルプラットフォーム推進部のマーケティンググループリーダーである富田康二氏にお願いしました。

富田講師は、SDGsが掲げている社会課題と事業成長の両立をはかるためのイノベーションの重要性、コニカミノルタ社が推進している「サステナビリティー経営」の概要を述べたあと、取引先や顧客など各方面のステークホルダーとの連携により、2030年までに事業活動に伴うCO2排出量を上回るCO2削減効果を生み出していくとする同社のコミットメント「カーボンマイナス」の決意を披露。実現するために欠かせない①グリーンプロダクト(開発)②グリーンファクトリー(製造)③グリーンマーケティング(販売)からなる「グリーン活動」を基本に、どのようにして事業貢献の成果を出すことができるかについて、実践事例を交えながら紹介しました。

さらに、印刷業界にも影響があると考えられる環境関連の動きに触れるとともに、環境技術やノウハウを提供することによって、顧客企業が抱える課題を共に解決していくという「環境デジタルプラットフォーム」の考え方を教えていただきました。
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2021年5月7日(金)
【ご案内】 E3PA 15周年記念
「“SDGs”クリオネセミナー」開催のご案内

SDGs視点での社会・環境課題の解決と事業成長
― 『コニカミノルタのサステナビリティ-経営』の実践事例に学ぶ ―

 

※ 本セミナーは修了いたしました。

環境保護印刷推進協議会では、「サステナブル社会の実現に参画することで印刷会社としての社会的責任を果たす」をメインテーマに、これまで幾多の関連する事業を展開してまいりましたが、創立15周年を記念する「“SDGs”クリオネセミナー」を今回はオンラインセミナー(ビデオ会議ツール「ZOOM」を使用)で開催することになりました。

当議会のメインテーマに即して、一昨年度からSDGsに関する【勉強会】をはじめ、啓発・啓蒙を目的とした【小冊子】の刊行、案内ポスターの作成を通じ会員の皆さまへのPR、普及活動に取り組んでまいりました。

これらの事業活動では、「私たちは[SDGs視点]で環境貢献しています」の精神を再確認するために、SDGsの柱に据えて環境保護に関連する7ゴールの実現に協力していることを強調してきました。当協議会が重視する<澄んだ空気>と<きれいな水>、CO2削減、森林再生はもちろんのこと、最新の印刷技術の採用によって「高い生産性で働きがいを」といった、SDGsが掲げる根源の理念を再認識するという趣旨で「クリオネセミナー」を開催することといたします。

今回の[クリオネセミナー]は、SDGsに取り組んでいる企業として、メディアなどでも高い評価を得ているコニカミノルタジャパン株式会社の協力を得て開催する運びとなったものです。

環境保護印刷推進協議会会員企業の皆さまはもちろんのこと、印刷業界の各方面から数多くの方々がご参加いただけますよう、ご案内申し上げます。

■ 開催要領

オンラインセミナー(ビデオ会議ツール「ZOOM」を使用して開催)

名 称 E3PA 15周年記念「“SDGs”クリオネセミナー」
主 催 環境保護印刷推進協議会
日 時 2021年5月28日(金) 午後3時00分〜
(受付開始:2時50分/終了予定:4時00分)
定 員 80人(定員になり次第、締め切らせていただきます)
※5月25日までにお申し込みください。
聴講料 無 料
申込先 環境保護印刷推進協議会 セミナー係

 

■ 演題 及び 講師

◇ 講演内容

SDGsの視点で社会課題を解決することで事業貢献(売上・利益)を拡大するコニカミノルタのサステナビリティ経営について紹介します。

「カーボンマイナス」は、お取引先やお客様、地域社会といったステークホルダーとの連携により、2030年までに事業活動によるCO2排出量を上回るCO2排出削減貢献を生み出していくコニカミノルタのコミットメントです。実現に向けた開発(グリーンプロダクト)・製造(グリーンファクトリー)・販売(グリーンマーケティング)の3つのグリーン活動について現場を如何に巻き込み、事業貢献に繋がる成果を出すことが出来たのかを実践事例を交えて解説します。

刻々と変わる社会要請を背景に脱酸素社会実現に向けた再生可能エネルギー導入のトレンドなど、今後印刷業界にも影響のあると考えられる環境関連の取り組み状況についても紹介いたします。

最後に環境技術やノウハウをデジタル化し提供することで、お客様の課題を解決する「環境デジタルプラットフォーム」をご提案いたします。

◇ 講師紹介

富田 康二 氏
コニカミノルタ株式会社
サステナビリティ統括部 環境デジタルプラットフォーム推進部
マーケティンググループリーダー

※ PDFファイルをご覧いただくためにはAdobe Acrobat Reader が必要です。

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2020年8月4日(火)
【ご報告】E3PA 2020年度定時総会

環境保護印刷推進協議会(E3PA)の2020年度定時総会は「書面議決」で、令和2年7月30日(木)午後4時から東京・神田神保町の「GCJ会議室」で【2020年度定時総会】を開催いたしました。

今年は「コロナウイルス感染」予防のために「3密」を避け、緊急事態であるところから、総会開催は役員のみの「書面議決」での対応となり、総会議案の「賛成・反対」の確認する【書面議決書】で正会員並びに准会員(協賛会員並びに賛同会員は除く)から賛否を諮る開催となりました。

定時総会は事務局が司会進行で開会し、今年の総会は「書面議決」で開催する旨を伝え、出席役員のもとで次の各議案の「書面議決」をそれぞれ採択、原案通り承認されました。

第1号議案 2019年度事業報告並びに収支決算報告承認の件、原案とおり承認されました。
第2号議案 2019年度剰余金処分案並びに寄付金限度額承認の件、原案とおり承認されました。
第3号議案 2020年度事業計画案並びに収支予算案承認の件、原案とおり承認されました。
第4号議案 役員任期満了に伴う役員改選の件、原案とおり承認されました。
第5号議案 その他、意見や説明など疑問点などはないことを確認、了承しましました。

なお、任期満了に伴い役員改選は、今日の厳しい情勢変化、難局に対応すべく現役員全員の留任を諮り承認されました(新役員名簿を参照)。

また、今年は当会が15周年になるので、記念となる事業を遂行することを確認、具体的な事業内容は理事会で検討、決定することになりました。

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2019年7月2日(火)
【ご報告】 E3PA 2019年度定時総会

環境保護印刷推進協議会(E3PA、松浦豊 会長)は、6月26日午後4時30分から、東京・一ツ橋の日本教育会館で2019年度定時総会を開き、前年度に引き続き、SDGsに焦点を当てて、SDGsを根底に置いた環境貢献に取り組むことを基本方針とする2019年度事業計画を承認した。

総会は井福哲治理事の司会進行で、はじめに松浦会長が次のようにあいさつした。

2019年度定時総会 続きを読む »

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2018年3月29日(木)
E3PAが10万円寄付
(公財)日本自然保護協会へ

環境保護印刷推進協議会は3月26日、自然保護活動を力強く推進している公益財団法人日本自然保護協会(NACS-J、東京都中央区新川116の10 ミトヨビル2階、理事長=亀山章東京農工大学名誉教授)に10万円を寄付した。

これは、寄付金額として、29年度定時総会で承認された「平成28年度決算の結果、生じた剰余金のうち、100,000円を限度に、社会的な環境保護活動に取り組んでいる公の環境保全事業団体等に寄付する」にもとづき同会に寄付をおこなった。

26日午後、E3PA事務担当者が東京・新川のNACS-J事務局を訪れ、同会担当者に寄付金を贈呈した。これに対し、NACS-JからE3PAに感謝状が贈られた。
E3PAでは、今回、寄付するのにあたって「会の運営方針として毎年事業活動の剰余金の一部を環境保護に関わる団体などに寄付することを掲げており、これまで森林やサンゴ礁の保護団体に寄付をさせていただいた。今年度は、自然保護活動を力強く推進しているNACS-Jに寄付させていただく。ぜひ、当会のコンセプトにあった事業活動に役立ててほしい」と要望した。

NACS-Jは、日本で最初の自然保護団体として1951年に設立され、1960年に自然保護団体として初の財団法人化。2017年3月末現在の会員数は、個人会員1万2985人、団体会員205団体、法人特別会員48法人、寄付サポーター1246人、アクションサポーター1万908人と2万人を超えており、個人の半数近くが自然観察指導員の資格を持っている。印刷業界では、大日本印刷や共同印刷などがNACS-Jと連携・協力している。

NACS-J 感謝状

講演会
2017年11月30日(木)
【ご報告】 2017年度 講演会
印刷会社が取り組むべきCSR戦略を学ぶ

―ビジネス戦略として企業ブランドの価値を高める―

環境保護印刷推進協議会では、11月22日(水)午後、東京・神田小川町の「明治大学紫紺館」で【2017年講演会】を開催し、「印刷会社が取り組むCSR戦略とは?―ビジネス戦略としての活かし方を考える―」と題した特別講演を聴きました。

この講演会は、当協議会が掲げている「サステナブル社会の実現に参画することで印刷会社としての社会的責任を果たす」という基本理念をさらに前進させるには、環境保護に関する行動規範を守り、顧客をはじめとする利害関係者の信頼を得ていくことが大前提になるとして企画したものです。<環境貢献>を柱に企業ブランドの価値を高める際に、根源的な企業の社会的責任(CSR)は欠かせないとの認識からです。

今回の講演会には会員をはじめ60余名が参加、講師としてお招きしたCSRコンサルタントの安藤光展氏(一般社団法人CSRコミュニケーション協会・代表理事)から、①CSRの基礎知識、②CSRにおけるトレンドと意識調査、③これからのCSRとは、④ステークホルダーの定義と認識、⑤ビジネス戦略としてのCSR、⑥印刷業におけるCSR視点のビジネス構築――の6項目について、有意義な解説を聴講することができました。

とくに、CSR活動が企業ブランドを高める手段=ビジネス戦略=としていかに有効かを中心に、企業を取り巻く昨今のCSRトレンド、価値を提供すべきステークホルダーとのコミュニケーションの重要性、顧客に向けての提案ツールとしての意義について学ぶことができ、貴重なひとときとなりました。

2017年度 講演会 講演の模様

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講演会
2016年12月26日(月)
【ご報告】 2016年度 講演会
印刷会社が取り組むブランド戦略とは?

―特別講演会でブランディングの活かし方を学ぶ―

環境価値を一般社会や顧客に認めてもらうには、ブランディング活動によって環境に貢献している企業姿勢を明確に示す必要がありますが、それには、ブランディングに取り組むとどのような成果が得られるのかを知っておかなければなりません。

そこで環境保護印刷推進協議会では12月20日午後、東京・神田小川町の「明治大学紫紺館」で『印刷会社が取り組むブランド戦略とは?』をテーマに特別講演会を開催しました。先の定時総会に際し併催した記念講演会では、ブランディング活動によって環境貢献に関する評価を得ることの重要性を学びましたが、今回はこれをさらに発展させた第二弾として企画したものです。

講師には、一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会の代表理事である岩本俊幸氏をお迎えし、自社の強みや優位性を顕在化するために、ブランド構築のステップを踏みながらブランディング活動を効果的に展開していく方法について、有意義な講演を聴くことができました。

また、Ⅱ部として「紙は環境にやさしい印刷素材です」を演題に、日本製紙連合会・常務理事の上河潔氏に、①環境保護を目的としている森林管理の考え方とは、②間伐材や端材を社会はどう捉えたらいいのか――を中心に話していただきました。紙は環境に悪いという誤解や、紙は森の減少につながるのかなどの疑問に、印刷会社としてしっかり対応できるよう理論武装しておくのが目的でした。

両講師による講演の要旨は下記のとおりです。

(文責編集部)

2016年度 講演会 講演の模様

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講演会
2015年12月16日(水)
【ご報告】第11回クリオネセミナー
環境に貢献するデジタル印刷の役割

クリオネセミナーで考え方を学ぶ
松浦会長 挨拶松浦会長 挨拶

環境保護印刷推進協議会では平成27年11月27日午後、東京・神田小川町の明治大学「紫紺館」で、「【環境】に貢献する【デジタル印刷】―技術とマーケティングからみた、その役割」をテーマとした第11回・クリオネセミナーを開催した。会員企業ならびに印刷関係者ら約70名が聴講し、有識者による基調講演とベンダ―企業による事例発表を通して、理論的な捉え方と実際面での活かし方を学んだ。

今回のクリオネセミナーは、デジタル印刷システムが今後より一層、普及するためには、新たなビジネスモデルを模索すると同時に、環境に配慮することが不可欠な課題になるとの確信のもと企画したもの。「デジタル印刷認証制度」を策定している当協議会の姿勢を改めて確認するとともに、制度の積極的な推進をはかりたいという意味合いも込めて開催した。

この日のセミナーでは、第Ⅰ部の基調講演で「環境に貢献する【デジタル印刷】」を演題に、技術とマーケティングの両面からみたデジタル印刷の役割について、斯界の専門家でありコンサルタントでもある亀井雅彦氏(一般社団法人PODi代表理事)から、理論的な解説を聞くことができた。

亀井講師は、デジタル印刷を必要とする社会的潮流、パッケージを例にとったグリーンマーケティングの発展状況、アメリカにおける商業印刷の勝利の方程式を紹介するとともに、①ターゲティング②オンデマンド③ディストリビューテッド――の三つの観点からデジタル印刷のメリットを解説した。亀井氏は講演のまとめとして「デジタル印刷システムをウエブ・トゥ・プリントのかたちでインライン化することにより、前工程のコンテンツ処理と後工程のフルフィルメントで、大きな付加価値を得ることができる。そうすることが環境への貢献策にもなる」と強調した。

また、第Ⅱ部の事例発表は「わが社が考える【環境】と【デジタル印刷】の関係」をテーマに、スピーカーとして協賛会員4社(コダック合同会社の飯田厚氏、コニカミノルタ(株)の藤井律雄氏、(株)メディアテクノロジージャパンの佐々浦映展氏、富士ゼロックス(株)の藤田伸郎氏)を招き、パネルディスカッション形式で話を進めた。コーディネータ役は亀井氏が担った。そのなかで、環境貢献という視点からデジタル印刷システムをどう活かしたらいいのかのヒントを得ることができた。

そこでは、技術とマーケティングの観点から、環境貢献をキーワードにデジタル印刷を営業ツールに育て、かつ《環境経営》の促進に役立てられるさまざまな切り口を提言してもらった。

基調講演の講演要旨および事例発表における主な発言内容は以下のとおり。

(文責編集部)

基調講演
対象顧客へのオンデマンド・分散印刷を強みに

大量生産・大量消費の時代が終わって、多種少量生産・消費の時代が到来し、同時に環境配慮、持続型社会への貢献に関する重要性が増している。そうした潮流のなか「ターゲットマーケティング」が重視されて、印刷物に求められる要素が変わりつつある。大量から少量へのカスタマイズ化、少量から個へのパーソナライズ化がそれである。また「環境」がマーケティングの軸となってきた。環境配慮型製品に象徴される「グリーンマーケティング」が発展してきて、開発からコミュニケーションに至るまでマーケティング視点で統合すべきときがきている。

先行しているパッケージを例にとると、インテリジェントパッケージという思想のもとで、包装というメディアに求められる価値が変わってきた。経済的で使いやすく、環境に優しく、しかもマスコミ受けもよくなければいけない。トレーサビリティーが顧客との相互作用を志向する主な開発軸となっている。環境配慮型パッケージでは、企業から消費者に対する「グリーンマーケティング」が浸透し、企業は環境配慮による付加価値を提供し、消費者はそれを商品選択の参考にするようになった。そこでは、製品の差別化戦略、ブランディング戦略、CSR戦略がおこなわれている。

拡大するターゲットを絞り込む「マイクロマーケティング」によって、小売業の差別化、顧客のセグメント化が進んでいることを受け、デジタル印刷は小ロット対応で「環境」に貢献し始めている。ラベル、紙器、軟包装の分野で浸透中である。

アメリカでは、オンラインでのマーケティングと販売が浸透したこともあって、印刷物は無駄だという認識が広がった。その結果、カタログの発行部数が減少していた。しかし、最近は復活の兆しを見せている。なぜ復活したのかというと、顧客セグメントごとに内容を一部変更して、別のカタログを低コストかつ容易に製作できる「バージョニング」が可能になったためである。Eメール・マーケティングやソーシャルネットワークを含むマルチチャンネルを、印刷物であるカタログと連動させることによって、カタログにターゲティングと成果測定という新たなダイナミズムが生まれたのである。ブランド体験を顧客に提供できるカタログは、今後も定着し続けるだろう。

デジタル印刷は、多品種小ロットニーズを対象に、ターゲットの細分化、パーソナル化、顧客データの管理を原動力にして、成長余地が大きいことがわかる。「ターゲットマーケティング」に伴い個々の商品の絶対量が減少し、印刷物もそれに合わせていく必要があるからだ。「環境マーケティング」も原動力の一つとなっている。

デジタル印刷には、商品在庫と物流の統合管理というフルフィルメントを提供できる利点もある。注文後に印刷する「オンデマントプリント」によるサプライチェーンへの寄与は大きい。紙の枚数ではなく、印刷物としての効果を売ることが可能になる。ページ数や部数を減らし、送料を削減することでコストダウンに寄与し、それでいて販促効果に優れ、売上げ向上を支援できる。

「ディストリビューテッドプリンティング」(分散印刷)による輸送、保管の減少効果も考えられる。作業の標準化とシステム化、データの集中管理と物理的作業の分散処理により、全国規模の多拠点で印刷できるという強みが、デジタル印刷にはある。

基調講演の模様

事例発表
「ワンストップサービス」に組み込むことが重要

亀井氏 初めに、環境保護のポイントを技術面からみた場合、どんなことが考えられるか?

コダック デジタル印刷システムを使用すると、①薬品、廃材が非常に少なくて済む、②どこにでも設置できる、③適材適所で印刷が可能になる――など多くの利点が考えられる。ハードウエアの面では、印刷部数を最適化する手法はほぼ確立されているので、データ管理にしっかり取り組めるようになれば、環境に貢献できる。

コニカミノルタ ヤレ紙やムダ紙の発生防止、取扱量の最小化、在庫スペースの縮小など、環境を意識して印刷機を製造している。とくに、人為的ミスによるムダな印刷物を出さないよう、起動後1枚目から満足できる画質を得られるよう、人が介在する部分をなくすための技術開発に取り組んでいる。顧客の要望に応じた後処理装置を印刷機にインラインで接続して、一気に最終の青果物が製作できるようになっている。

メディアテクノロジージャパン 中間工程をなくすことで、資材や在庫の削減を可能にしている。それにより、消費エネルギーとCO2発生も抑制できる。また、必要な部数を必要なだけオンデマンド印刷するので、廃棄印刷物を減らすことができ、間接的にCO2削減にもなる。環境保護のテーマに沿っており、それだけ環境貢献度が高い。

富士ゼロックス オフセット印刷とのハイブリッドワークフローにより、出力設定やカラーマネジメントを一括でおこなえる。その分、作業効率が向上し時間も大幅に短縮できる。管理を一元化することで、印刷データをシームレスに一貫管理できるというメリットが生まれる。デジタル印刷を利用しているため、省スペース、省エネ、ヤレ紙削減、在庫レスといった環境負荷の低減にも結びつく。

亀井氏 同じように、マーケティングの側面からみた場合はどうか?

コダック ムダなものをつくらないという社会的課題がある。ムダが発生しなければ、エネルギーを必要とするリサイクルは不要になる。ムダな印刷物を出さないよう、部数を最適化することが重要だと思う。そのためには、顧客のニーズに沿った本当に正しい部数を把握し、デジタル印刷を活かす方向でビジネス提案してほしい。第二次産業の製造業から第三次産業のサービス業へ業態を変革するには、メディアを提供する立場でビッグデータをきちっと分析して顧客を分類すること、それに相応しい情報を提供して顧客を囲い込むことが基本になる。ビッグデータ分析×デジタル印刷の仕組みをつくって、適切なマーケティングを提案する必要がある。ワントゥワンマーケティングを支える顧客のセグメンテーション方法を確立できれば、仕事が逆に増えて新たなビジネスチャンスが生まれると思う。

コニカミノルタ 印刷物を必要な場所に素早く届けるために、消費地生産を進めたい。顧客に一番近いところで分散印刷して、オンデマンド納品することが重要になる。デジタル印刷システムは設置性や購入コストの面で比較的優位という特徴があり、同じ品質をプリントできる複数台を各地に設置することが可能だ。消費地生産に最も適した印刷機であり、配送の効率化、物流に伴うCO2排出の削減という観点からも、マーケティング効果が狙える。難しいとされるコンテンツの管理レベルを高め、印刷会社の新しいビジネスモデルに寄与できる仕組みづくりに努力していきたい。

メディアテクノロジージャパン 市場の成熟化に伴い、多様なニーズを取り込むマスカスタマイゼーションへの対応が望まれており、効率的に対応する手法としてマーケティングオートメーションが考えられている。そのマーケティングオートメーションとデジタル印刷を連携させることで、マスカスタマイゼーション印刷が可能になる。ハイブリッドワークフローの活用により、例えばオンデマンド書籍などのプロモーションが実現できる。デジタル印刷の特性を活かしたビジネスモデル、マーケティングを含むビジネスモデルの創出のために、デジタル印刷の普及をはかりたい。

富士ゼロックス 必要なときに必要な部数を製作できるデジタル印刷は。在庫レスを可能にする。在庫管理を顧客とともにおこなえるという利点を訴求することで、マーケティング提案が有効になる。顧客の一人ひとりに最適な情報を提供できることがバリアブル印刷の特性である。幸い、ITとの親和性、連携性に優れている。見たい人に見たい印刷物を提供できるという強みをマーケティング提案すべきだと思う。そうすることが、そのまま顧客にとっての印刷メディアの価値向上となる。環境にもやさしいマーケティングツールとして積極的にアピールしてほしい。

事例発表の模様

講演会
2015年10月30日(金)
【ご案内】第11回クリオネセミナー
【環境】に貢献する【デジタル印刷】

近年、デジタル印刷は品質的に従来印刷に比肩できるレベルまで進歩しています。デジタル印刷で「出力」する新たな展開、ビジネスモデルの模索が続いています。デジタル印刷が今後さらに市場を拡大する技術であるためには、【環境】に配慮することが不可欠な課題といえるでしょう。

私たち環境保護印刷推進協議会(E3PA)は、自主基準として、デジタル印刷における環境基準【「デジタル印刷」認証制度】を策定し積極的に推進することで、環境負荷の軽減を考慮した“サステナブル社会”を目指しています。

そこで、【環境】に貢献する【デジタル印刷】(仮題)をテーマに恒例の「第11回 クリオネセミナー」を開催する運びとなりました。時期をとらえた格好の機会になると思われますので、できるだけ多くの方々にご参加くださいますよう、ご案内申し上げます。

■ 第11回クリオネセミナー:開催要領

名 称 第11回 クリオネセミナー
【環境】に貢献する【デジタル印刷】
主 催 環境保護印刷推進協議会
日 時 平成27年11月27日(金) 午後2時30分
(受付開始:2時10分〜終了予定:5時00分)
会 場 明治大学【紫紺館】 3F
東京都千代田区神田小川町3-22-14
TEL:03-3296-4727
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参加者 環境保護印刷推進協議会会員ならびに印刷業界関係者、他
定 員 60人(定員になり次第、締め切らせていただきます)
聴講料 無 料
申込先 環境保護印刷推進協議会 事務局
東京都中央区新富1-16-8日本印刷新聞社内
〒104-0041  TEL 03-3553-5681  FAX 03-3553-5684
申込書にご記入の上、FAX送信でお申込み下さい。

 

■ 基調講演(第Ⅰ部)

時 間 午後2時35分〜3時15分
テーマ 【環境】に貢献する【デジタル印刷】(仮題)
―技術とマーケティングからみた、その役割―
講 師 亀井 雅彦 氏(一般社団法人PODi 代表理事)

 

■ 事例発表(第Ⅱ部)

時 間 午後3時30分〜4時55分
テーマ 我が社が考える【環境】と【デジタル印刷」】との関係(仮題)
コーディ
ネータ
亀井 雅彦 氏(一般社団法人PODi 代表理事)
スピーカー E3PA 協賛会員([デジタル印刷]認証制度対応企業 各社)
キヤノンマーケティングジャパン株式会社/コダック合同会社/コニカミノルタビジネスソリューションズ株式会社/株式会社メディアテクノロジージャパン/富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ株式会社  =五十音順=

 

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