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【ご報告】 SDGs視点での社会・環境課題の解決と事業成長
「サステナビリティー経営」の実践事例を学ぶ

環境保護印刷推進協議会では、5月28日(金)午後、創立15周年を記念する諸行事の集大成として「“SDGs”クリオネセミナー」を開催しました。新型コロナウイルス蔓延防止に配慮して、ビデオ会議ツールZOOMを利用したオンラインセミナー形式でおこないましたが、参加を申し込まれた会員企業(60社)の方々は、自社にあるパソコンの画面を通じて熱心に聴講し、それぞれに有意義な講演を聴くことができました。

今回、取り上げたテーマは「SDG視点での社会・環境課題の解決と事業成長―コニカミノルタのサステナビリティー経営の実践事例―」でした。国連が採択している持続可能な開発目標[SDGs]の趣旨を再認識する目的で企画したもので、当協議会が重視する<澄んだ空気>と<きれいな水>、CO2削減、森林再生はもちろんのこと、「高い生産性で働きがいを」「つくる責任つかう責任」といったテーマ(ゴール)に、印刷会社としていかに具体的に実践していったらよいのかを勉強する機会としました。

SDGsに関連するビジネス活動で高い社会的評価を得ているコニカミノルタジャパン(株)(当協議会協賛会員)の協力を得ておこない、講師には、コニカミノルタ(株)サステナビリティ統括部・環境デジタルプラットフォーム推進部のマーケティンググループリーダーである富田康二氏にお願いしました。

富田講師は、SDGsが掲げている社会課題と事業成長の両立をはかるためのイノベーションの重要性、コニカミノルタ社が推進している「サステナビリティー経営」の概要を述べたあと、取引先や顧客など各方面のステークホルダーとの連携により、2030年までに事業活動に伴うCO2排出量を上回るCO2削減効果を生み出していくとする同社のコミットメント「カーボンマイナス」の決意を披露。実現するために欠かせない①グリーンプロダクト(開発)②グリーンファクトリー(製造)③グリーンマーケティング(販売)からなる「グリーン活動」を基本に、どのようにして事業貢献の成果を出すことができるかについて、実践事例を交えながら紹介しました。

さらに、印刷業界にも影響があると考えられる環境関連の動きに触れるとともに、環境技術やノウハウを提供することによって、顧客企業が抱える課題を共に解決していくという「環境デジタルプラットフォーム」の考え方を教えていただきました。

同講師による講演の大要は以下のとおりです。

(文責編集部)

 

富田康二 氏 富田康二 氏

国連が採択している持続可能な開発目標[SDGs]は、われわれ民間企業に対して社会課題を事業機会として捉え、イノベーションでその課題を解決することによって、事業創出、事業成長に繋げるよう求めている。当社も社会問題や地球環境問題の解決に取り組むことで、グローバル社会からの称賛、優秀な人材あるいは資金を集結し、持続可能な成長をめざしていきたい。

グローバル社会から支持され必要とされる企業になるためには、人と社会の持続的な成長に貢献できるような、足腰のしっかりした進化し続けられるイノベーション企業にならなければならない。当社の経営ビジョンのコンセプトはここにある。企業の進化を継続させるイノベーションを起点に、人間社会にとっての新しい価値の提供を意味する社会・環境課題の解決と、事業の成長を両立させながら企業価値を向上させ、持続的成長を実現していきたい。

そのための重要課題としては、①働きがい向上および企業活性化。②健康で高い生活の質の実現、③気候変動への対応、④有限な資源の有効利用、⑤社会における安全/安心の確保――の5点を挙げたい。これらにより、人間中心の生きがいの追求(個別化・多様化への対応)と持続的な社会の実現(顕在化した社会課題の解決)が高い次元で両立可能になる。

とくに環境課題への取り組み方については、①環境発展に貢献し、社会から必要な企業として認められる、②環境活動の実践で企業の成長をはかる、③環境活動を通じてステークホルダーと喜びを分かちあう――ことで、環境価値と事業価値の向上を両立させたい。これによって、広く社会に貢献できるビジネスの創出が可能となる。

製品ライフサイクルにおけるCO2排出量を削減することを謳った長期環境ビジョン「エコビジョン2050」も、その取り組みのなかで定められた。ステークホルダーとも連携しながら2030年までにカーボンマイナス(当社としては2005年比で60%削減)をめざし、さらに2050年までに80%削減することを目標としている。

環境経営を実効性のあるものにするため、サプライチェーンとライフサイクルの全体を視野に入れながら「3つのグリーン活動」を推進している。それは、いずれも環境課題を解決する①製品を企画・開発するグリーンプロダクツ活動、②調達・生産をおこなうグリーンファクトリー/グリーンサプライヤー活動、③販売・サービスをおこなうグリーンマーケティング活動――である。

グリーンプロダクツ活動においては、独自の「サステナブルソリューション認定制度」を社会課題解決や経営貢献を念頭に2022年に向けて進化させ、認定基準を従来のプロダクツからソリューションに変更している。その一環として、印刷会社の生産工程にエネルギー削減や資源の有効利用を可能にするイノベーションを提供することで、ワークフローの変革をお薦めしている。品質の最適化システムによる資源の有効活用(ヤレ紙削減)、持続可能な雇用環境(自動化)、安心・安全な職場環境(省人化)、働きがい(非稼働時間の改善)といったワークロー変革効果も提案している。

またグリーンマーケティング活動においては、自社の実践から得た経験やノウハウを顧客企業に展開して、関係強化をはかっている。提供している技術・ノウハウとしては例えば環境改善計画、環境格付け、環境マネジメント、環境法規制への対応策、さらには実際の環境負荷低減、コストダウンの実現策、製品に含まれる化学物質の管理の仕組みなどがある。

印刷と環境との関わりに関する事例としては、対象となるプロダクションプリント機のカーボン・ニュートラルサービスを日欧豪で提供し、顧客企業とともに事業密着型の環境活動を推進している。プリント機の材料調達から生産、物流の各段階で排出されるCO2の量、および製品使用(印刷)時の電力消費に関わるCO2排出量を、当社が保有するクレジットによって埋め合わせている。顧客である印刷会社は、第三者機関による「カーボン・ニュートラル証明書」やロゴマークを使って、印刷物に「カーボン・ニュートラルをした印刷機で印刷されたものである」旨を表記できる。このようにして“印刷機のCO2 実質ゼロ”が訴求可能となる。

「環境デジタルプラットフォーム」についてもご紹介したい。環境問題に対する社会的要求が高まるにつれ、SDGsにおいても前述のようにイノべーションによる環境課題の解決と事業成長が要請されている。必然的に企業における課題は①業務効率の最大化、②イノベーションの創出ということになるが、これらを達成するためには個社だけの取り組みでは限界がある。

個社が積み上げてきた環境対応技術やノウハウを共有するとともに、企業間の連携で環境課題を迅速に解決する必要がある。つまり共創によるイノべーション創出である。結果としてSDGsが求めている「社会課題を解決することによるビジネス機会の獲得」が実現できる。

当社が運営を担っている環境デジタルプラットフォームの参加企業は、環境関連のコンサルティング、ソリューション、コンテンツ(ノウハウ)、アドバイザリー(役務)、ソフトウエア、商材といった各種サービスを受けられる。マッチングでこれらの成約を支援している。的確な道しるべ情報と即効性のある問題解決策を活用することで、環境経営を実らせてほしいと願っている。

更新日:2021年6月21日