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講演会
【ご報告】 第10回《クリオネ》セミナー
「CSRと労働衛生を巡る課題にどう応えるか?」

環境保護印刷推進協議会(E3PA)では2013年11月26日午後、東京・本郷の「全水道会館」で、「CSRと労働衛生を巡る課題にどう応えるか?」をテーマとした「第10回クリオネセミナー」を開催し、会員企業ならびに一般参加の印刷関係者を含む約80名が、第一線の有識者から理論的な考え方と実際の対策について学んだ。
今回のクリオネセミナーは、当協議会が環境保護に関する印刷産業の姿勢を社会一般に知ってもらおうという趣旨で『印刷環境憲章』の策定作業を進めているのを機に企画したもの。事務局から憲章策定の進捗状況や素案を説明することで、会員各位へのヒアリングを兼ねた格好の機会ともなった。

第10回 クリオネセミナー

憲章制定の土台づくりに欠かせない必須条件は、印刷各社におけるCSR(企業の社会的責任)経営であるとの認識のもと、最初に「印刷業界にとってのCSRとその対応〜環境対応との関連〜」と題とする基調講演を、(株)創コンサルティング社長・海野みづえ氏から聞くことができた。
海野講師は、CSRの全体的な動きのなかで、環境対応も中核主題になっていることを紹介。ついで、企業価値の創造に焦点を当て経営戦略に組み込んだ「戦略的CSR」展開の重要性を説いた。具体的には、 (1)企業倫理、リスク対応、コンプライアンスをはじめとするガバナンスを基盤に、 (2)社会・環境配慮の取り組みを事業プロセスに組み込む基本的CSR(ISO26000)を必要条件とし、さらに (3)成長機会(新たな事業領域や市場分野)の開拓、競争力の強化(経営プロセスのイノベーション)、ブランド価値の向上(ステークホルダーとの連携強化)を三本柱とする「戦略的CSR」を構築すべきだとした。
たんなるリスク対策の側面から機会志向、市場志向に昇華させながら、どうやってビジネスチャンスを探し出していくかが重要となる。環境配慮の姿勢を経営プロセスに組み込んでいることは、すでに競争力上の強みとなっているはずで、E3PAが掲げる環境経営そのものが「戦略的CSR」になっているという。
そして、基礎的なリスク対応とプラス思考の企業価値創造との両立、バランスをいかに取っていくか。社会貢献の企業姿勢をビジネス戦略に結びつけた“自社らしい”企業ブランドをいかに構築するかにあると述べた。
海野講師は、印刷業界ならではの「戦略的CSR」発想にも言及し、 (1)環境経営戦略への展開(高付加価値化、コスト削減)、 (2)印刷物によるメッセージ伝達、 (3)コミュニティ活動への関与(地域密着、地域CSR)、 (4)顧客要請への対処(BtoB、BtoBtoC)――など、自らの特徴を活かしたCSRに取り組むべきだと強調した。

また「環境保全と労働衛生からみた作業現場の管理」に関しても、有機溶剤(VOC)の適切な取り扱いを中心に、斯界の専門家による実務研修を受けた。この日、招請した講師、労働衛生コンサルタントの岡田賢造氏は、労働衛生の基本である「3管理」(作業環境、作業、健康)に、管理体制、教育の2項目を加えた「5管理」で対処していく必要があるとしたうえで、「労働災害の防止・健康障害の予防は、経営トップの姿勢と熱意にある」と力説。現場作業のなかで有害物質が発散したとしても、環境汚染や健康障害につながらないよう、排気や換気などによって拡散する前に“遮断”することが重要だと指摘した。
具体的な対策としては、 (1)有害物質の少ない物質への転換、 (2)有害物質が発散・拡散しないような生産工程、作業方法への改良、 (3)設備の密閉化、自動化、遠隔操作、隔離、 (4)局所排気、プッシュプル換気による拡散防止――などが挙げられるが、作業環境を守るためには、作業者の参画による協力、手順書の見直し、作業改善が欠かせない旨を力説した。

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更新日:2013年12月2日