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見学会
環境貢献に取り組むオフ輪印刷工場を見学
印刷会社におけるCSRの企業姿勢をこの目に

環境保護印刷推進協議会では、日本オフセット輪転印刷協議会との共催で3月6日、率先して環境対応を実践している最先端のオフ輪印刷工場を視察する「工場見学会」を実施しました。これは、当協議会が「印刷環境憲章」の制定をめざしているなかで、環境対応を通じて印刷会社はどのようにしてCSR(企業の社会的責任)を果たすべきかを学ぶために企画したもので、モデル企業として知られる①株式会社ニシカワ印刷/笹井事業所(埼玉県狭山市、当協議会会員)、②紅屋オフセット株式会社深谷工場(埼玉県深谷市、オフ輪協会員)の2社を訪問しました。当日は、東京・八重洲出発のバス同乗40名、自家用車による直接参加40名、合わせて80名にのぼる人たちが、両社におけるCSRの企業姿勢をこの目で確かめてくることができました。

全社挙げて環境負荷の低減に努めるニシカワ印刷

午前中に訪れた(株)ニシカワ印刷/笹井事業所では、工場見学に先がけておこなわれた説明会で、西川誠一社長から会社の概要紹介とともに「一気に強化した生産体制も現在では安定し、生産効率も向上している。環境にも配慮した結果、電気料金が上がってもコストの吸収が可能なくらい、効率を高めることができた」という趣旨の挨拶を受けました。

具体的なプレゼンテーションは業務本部ISO事務局の鳴海清氏からあり、それによると、同社はISO14001の認証を取得して環境マネジメントシステムを運用し、製品・サービスの信頼性を高めるべく徹底的に環境影響評価をしています。電力使用量については、①印刷機のスピードアップ化と生産効率の高い稼働回転数の管理、②チラーの台数と設定温度の制御および稼働管理、③コンプレッサーの稼働台数と圧力の制御、エア漏れ防止、④脱臭装置の最適化、⑤折機のスペック精度の向上、紙の斤量管理、⑥室温制御などによって、工場全体で年間70万kwhの削減効果をあげることができたとしています。全体で56か所に及ぶ電子監視システムによって、リアルタイムで使用量を追跡するとともに、社員が自主的に見回るなどして、全社挙げて環境負荷の低減に関する意識喚起に努めているそうです。

ニシカワ印刷

品質向上と環境対応を両立させる紅屋オフセット

また、午後には紅屋オフセット(株)深谷工場を訪問し、まず説明会で今井敏義社長から「ISO14000を認証登録し、印刷品質を高めれば廃棄物を少なくなると、車の両輪のように解決に向けて取り組んできた。省エネ工場化をめざして電力削減にも注目し取り組んだ結果、その成果が出ている。とくに電力使用のピークカットをおこなえば、全体的なメリットが得られる。一定レベルまでは実行する必要があると確信した。電力とガスの負担は桁違いに大きく、重点的に対処すれば、印刷工場として大幅な改善につなげられると思う」旨の具体的な解説がありました。

概要説明に当たった木村弘紀常務取締役によると、同工場では電気使用量の削減が環境面、経営面に重要な課題であると認識して、見える化設備の導入、専門家のアドバイス、省エネ補助金の活用を重点に置いた結果、どこに手を打てばどのような効果が生じるかが解るようになったとしています。電気の消費では①印刷機の原動モーターの更新、②コンプレッサー台数の削減と制御、④チラーの更新、⑤照明と空調設備の更新、ガスの消費では①ドライヤーの効率アップ、②低温速乾印刷への挑戦、さらには、耐久性のあるスチールバックブランケットの試行、太陽光発電の導入など、実に広範な領域で対策を練っています。環境マネジメントシステム(ISO14001)の実行によって印刷物製造の環境影響を特定し、数値化した目標と比較して評価することで、具体的な改善策を見出しています。

紅屋オフセット

両会長がエールを交換、見学会の意義を高める

両工場における説明会の冒頭、当協議会の松浦豊会長が「E3PAにとって事業活動の一環として初めて設けた工場見学会であり、この機会に環境に対する取り組みを勉強させていただきたい。環境保護の意識をもって取り組まれている様子から、何か一つでもヒントを持ち帰ってほしい」旨、挨拶し見学会実施の趣旨を伝えました。

また見学会終了に際して、小野克巳理事が「環境対応についてのプレゼンテーションをお聞きし、特化した最先端の優良企業であることを目の当たりに見ることができた。とくに、経営者としての“先を見る目”には心打たれた。我々はその方向性を学ぶとともに、リーダー企業としての立場から今後も印刷業界をご指導いただきたい」との趣旨からなる謝辞を述べました。
共催の日本オフセット輪転印刷協議会・今井敏義会長からも「長い目でみると、環境対応に取り組むことによって印刷会社としての技術力が高まるうえに、グローバル化が進むなかでも簡単にマネされないかたちができるはず。弛まず努力を続けていきたい。トータルでいい方向へ進めるよう、各社が協力し合えればいいと思う」との挨拶がありました。

更新日:2014年3月9日